いまあるもの

そんなに、慌てて咲かなくても、良いのに。
故郷岐阜の山里にも、例年より二週間ほど早く、桜が咲きはじめました。
会社の借景。目前の金崋山にある一本の山桜。私は「孤高の山桜」と呼んでますが、ほぼ満開です。
毎月心のこもった通信を頂く先輩の今月号は、「毎年よ彼岸の入(いり)に寒いのは」との正岡子規の句に添えて、温暖化で季節の代表句も変わってしまいましね。と。足早に訪れそうな夏を心配。
先輩の通信は、子規の句もそうですが、NHKの月刊誌「ラジオ深夜便」からの一文が寄せられています。雑誌の売り上げが激減。出版業界は頭を抱えていますが、NHK出版は、順調と聞きます。
「深夜便」はラジオとの連動ですが、「きょうの料理」「おしゃれ工房」「住まい自分流」「趣味の園芸」「今日の健康」など教育テレビの番組と連動させた月刊雑誌は、視聴者を読者へと誘導しているようです。
ネットと既存のマスメディアとを連動させるのが、メディアミックスと呼ばれ、最近の広告手法の主流になっていますが、このNHKの試み、番組の二次利用ですが、りっぱなメディアミックスだと思います。
紙に落とし込む際。テキストとして日常生活の手助けに利用させようとするアイディアは、ひと工夫あって、とても面白い発想です。これは、あるものを利用すれば新しいものが生まれる例かもしれませんね。
視聴料で番組を制作し、その二次利用で稼ぐのは如何なものかとの批判もあるやに聞きますが、資源を有効利用する、年配の方が楽しんでおられる、なにも目くじらを立てることもないと思います。
ただ、発行部数とか、売り上げとか、実績を発表すれば、誤解が解けてよいのでは、と、思いますが。
広告業界もネットに押されるばかりで、有効な広告手段を提起できない時代です。
既存の手法にしがみつくのではなく、角度を少し変えてみれば、違った景色が見えてきて、人の心に響く媒体が生まれるのではないでしょうか。
広告業界のみならず、革命的な商品が矢継ぎ早に生まれる時代ではありません。
「いまあるもの」を見直し、加工する知恵が、必要なのではないでしょうか?
先輩から送られた通信に目を通し。
「そんなに慌てなくても良いのに」と、焦って咲く、桜を眺める日曜の朝です。
                  Goto
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3/21 日本経済新聞

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