円椎(つぶらじい)

京をめざした兵(つわもの)どもの夢・・・・
「あーー。今年もこの季節が来た」そんな感慨を深めて、目前(金華山麓)に一本だけ、佇む山桜の開花を楽しんでいます。(写真)
岐阜市の中心にデンと構える金華山。その頂に聳える岐阜城は、濃尾平野を睥睨しています。山全体を覆うのは、円椎(つぶらじい)の木です。孤高の山桜が散れば・・・山は円椎の白い花に染まります。
岐阜城の歴史は古く。1200年、二階堂行政が築城、五代続いたが廃城。15世紀に入り土岐一族を滅ぼした斎藤利永が修復・・・その斎藤家を家臣の長井新左ェ門が謀反で乗っ取り、その子新九郎(後の斎藤道三)が天守閣を造ったと言われています。
その後は、ご案内の通り国盗りの城として、道三が息子に、その息子が竹中半兵衛に、そして織田信長にとめまぐるしく城主が変わります。「美濃を制するモノは天下を制す」。岐阜城は京を睨んだ兵(つわもの)どもにとっての最前線基地に他ならないからです。
金華山に茂る円椎の木は、花の咲く雌木と雄木があります。春に白い花を咲かせた雌木は、秋には実を付けます。その実「椎の実」はタンパクが豊富で炒って食用になります。私も子供のころは、おやつ代わりでした。
戦国の世。国盗りの兵たちは「円椎の実」を炒って袋に詰め、その実を腰にぶら下げ京をめざしたと、聞き及びます。金華山は孤高の山桜が散りますと、円椎の花で白く燃えます。
私はそれが待ち遠しい。同時に、「円椎の実」を腰にぶら下げ、京をめざした戦国の兵達に思いを馳せます。自然に感謝しながら・・・・星雲の志を忘れまいと。                 Goto
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3/23当社から見える「孤高の山桜」

コメント

  1. Goto より:

    私の勝手な見立てですが、円椎は、楠木の仲間ではないかと思っています。円は実が丸いからでは。とも。「なんじゃもんじゃ」の街路樹。メモリアルセンターの南側にも植わっています。岐阜大学前の通りですか?ぜひ、花見に訪ねたいと思います。頃合を見計らって、知らせていただければ幸いです。いつもながら、薀蓄あるご指導に感謝します。ありがとうございます。              Goto

  2. ナガラ より:

    そうなんですか、あの樹は円椎(つぶらじい)と云うのですか。
    初めて知りました。
    それにしても変な名前ですね。
    私は金華山を長良川から隔てて見るのが好きなのですが、しかも西側から見る光のためか、いつも山肌は黒っぽいイメージしかありません。
    ところが一年に一度だけ、それも一週間位の短期間、その角度からでも金華山が柔らかいグリーンの姿を見せてくれます。
    それも円椎の開花の所為だったのですね。
    五月に入って咲く岐阜大学の校門前の街路樹・なんじゃもんじゃ(ヒトツバタゴ)。
    木犀の仲間ですが、円椎によく似た雰囲気を持っています。
    私の住まいの近くですので毎年その花を見て愉しんでいますが、『五月の樹に積もる大雪』という風情です。
    こちらの方も是非、花見にお越し下さい。

  3. レモンハート より:

    このコメントを見て映画「ラ・マンチャの男」を思い出しました。以下抜粋しました。
    夢は稔り難く (ゆめはみのりがたく)
    敵は数多なりとも (てきはあまたなりとも)
    胸に悲しみを秘めて (むねにかなしみをひめて)
    我は勇みて行かん (われはいさみてゆかん)
    道は極め難く (みちはきわめがたく)
    腕は疲れ果つとも (うではつかれはつとも)
    遠き星をめざして (とおきほしをめざして)
    我は歩み続けん (われはあゆみつづけん)
    これこそは我が宿命 (これこそはわがさだめ)
    汚れ果てし この世から(けがれはてし このよから)
    正しきを救うために (ただしきをすくうために)
    如何に望み薄く 遥かなりとも (いかにのぞみうすくはるかなりとも)
    やがて いつの日か光満ちて (やがていつのひかひかりみちて)
    永遠の眠りに就く時来らん (とわのねむりにつくとききたらん)
    たとえ傷つくとも (たとえきずつくとも)
    力ふり絞りて (ちからふりしぼりて)
    我は歩み続けん (われはあゆみつづけん)
    あの星の許へ (あのほしのもとへ)
    (福井峻訳「見果てぬ夢」<騎士遍歴の唄>)
    志のある人間がいれば日本はまだまだ安心です。