石巻日日新聞100年記念誌

「歴史を軽んじるまちは、未来から見放される」
宮城県・石巻・東松島市・女川町で発行されている地域紙・石巻日日新聞から「創刊100年」(平成24年10月)を記念して「石巻の大正・昭和・平成」ーふる里と歩んだ石巻日日新聞の100年ーが発刊されました。(写真参照)
石巻日日新聞社とはこの3月から、ハッピーメディア®地域みっちゃく生活情報誌「んだっちゃ!」(石巻・東松島市・女川町・54,000部・全戸配布)を一緒に発行しています。そのご縁もあって、石巻日日新聞は私の愛読紙で、週一回、一週間分が送られてきます。
石巻地区の細やかな情報がキャッチでき、震災以降の復興ぶりや、仮設住宅で、被災者の健康管理や地域住民との親睦などを目的とした石巻地方の方言を取り入れたラジオ体操が評判になっているとか、笹蒲本舗「高政」が四季折々に楽しい蒲鉾を届けているとか地域事情を楽しく読んでいます。(ひょっとしたら石巻地区を離れた人より、私の方がまち事情、詳しいかも)
その「100年記念誌」で息を飲むのは、大震災時の報道。津波で輪転機が水没、新聞発行が困難な事態の中。安否が確認された報道部の記者に、社長は「非常時にこそ活動しないで何が新聞社だ」「何もしないということは自分たちで自分たちの存在否定することだ」と訓示。
あの壁新聞が発行されるに至った瞬間が、被災状況の特集写真とともに綴られています。その写真集に被災の翌年、正月3日。東松島市の無形民俗文化財、大曲浜獅子舞が披露された写真が。浜にあった9体の獅子頭は津波ですべて流され、そのうち2体が泥だらけで見つかり・・・東京浅草の太鼓や神輿の老舗が復元(日経12/11・ART REVIEW)、その復元された獅子が舞っている写真でした。
あとがきは「石巻から新聞の灯を消してはならないと奔走し、歩んできた歴史が。100年にはこの地区がどんな発展を遂げ時代の流れに翻弄されてきたかがわかる」「被災地となった街は復興に向け動き出している。時間はかかるが新しい街はできると思う」
「本誌が震災前に先人たちが築き上げてきた歴史や文化を新しい街に引き継ぐ役割果たせればと思いを込めて編纂した」「井上ひさしはある著書で、歴史を軽んじるまちは、未来から見放される。と書いている」「100年記念誌が先人たちの歴史を見つめることでこれからこの地域の進むべき方向が見えれば」としめる。私にとってはとても感動の一冊です。Goto
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12/11日本経済新聞              石巻の大正・昭和・平成(石巻日日新聞社発行)

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