重く大きなテーマに切り込む。ぜひ、夕刊の購読を。
私は、4紙(日経、朝日、毎日、中日)の夕刊に目を通しています。
もちろん、朝刊ほど読む時間が決められませんので日々ってわけにはいきませんが、
どの夕刊も趣向を凝らしていて読み応えがあります。
とりわけ日経の夕刊は、一般紙とは違い目まぐるしく動く世界経済の状況が報じられ、
海外の株価など特徴があります。朝刊の発行部数は公称250万部ですが、
夕刊がどの程度購読されているのか分かりませんが、(朝刊の何%なのか)
意外と読まれていないとすると、残念です。
この地方では読売新聞は夕刊を発行していません。
ですから、読売の夕刊がどんな紙面づくりなのかはわかりませんが、
様々な工夫が凝らされ楽しい企画が満載なのでしょうね。
朝日と読売の夕刊。よく考えた面白い特集が組まれています。
11/29付の朝日の夕刊。「一語一会(いちごいちえ)」のコーナーで、
私の好きな俳優・演出家の笈田ヨシさんを紹介。渋い俳優です。
85歳になられるそうで……1956年ですから62年前、
文学座付きの作家だった8歳年上の三島由紀夫と出会った話を……
「三島と顔が似ているってことで、60年、三島演出の「サロメ」の
胸を突いて死ぬ兵隊役に抜擢された」65年には三島監督映画「憂国」で
割腹する将校を演じた。いずれのシーンも「三島に似た僕が朱に染まる姿をじっと見ていた」
それが忘れられない。それから5年後、70年に彼は己の腹を切った。
三島は70年安保で日本が米国の従属国に固定化したことで
「俺の中では何もかも終わった」と失望、自決した。
あれから48年。「三島は45歳で時を止め、僕はぬらぬらと老体を晒す」
「僕はただそこに存在し、老いてゆく凡人としての己の生を絶望もなく受け入れている」と、
「三島由紀夫が己の死を容姿がよく似た僕の死の芝居で具現化していった」と寂しく語る。
夕刊ならではの笈田ヨシさんを紹介する味わい深い特集一語一会です。
同日の毎日夕刊、特集ワイドです。
中国人が日本人に帰化。選挙に立候補。「常に優しい日本人に囲まれてきた」と
思って生きてきた中国人の女性映画監督が、日本国籍を取得した中国出身の
政治家が出身国を声高に叫んで選挙運動を展開したドキュメンタリー映画
「選挙に出たい」を完成、その際の日本人について語っている。
映画の山場、主人公が街頭演説中「中国に帰れ」そんな心無いヤジに
「私は日本国民ですから……何処へ帰るんですか」と応じる。
人間は出身国という括りからどこまで自由になれるのか……映画は問う。
国会で外国人労働者受け入れ法案が採択された。
新宿区議選に立候補した映画の主人公は語る。
「若者に欲がなく、大学生もおとなしい。海外にも行きたがらない。
勢いがない。ネットのヘイト発言などを見ると、
口だけで行動しない人ばかりのようで、どんどん遅れていくと思えてならない」
若者がこんな風に外国人から見られるとなると、
この国は意欲に溢れる外国人労働者が動かす日が遠くない。
「長年日本に暮らし、成功を収めた後、日本には刺激がない。つまらない」と
出て行く外国人も多い。……と。異文化で育った人たちとどう向き合い、
どんな社会を築いて行くのか、そのための迫力が日本社会にあるのか。
映画に込められた様々な問いは重い。
夕刊は、避けては通れない問題に切り込む。
そんなテーマを日々追う。夕刊って価値があると思っています。
ぜひ、あなたも夕刊の購読を。Goto
11/29毎日新聞 11/29朝日新聞
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