IWC脱退に物申す

オラが村では、捕鯨は歴史であり文化だ。本当ですか?
なぜ、今、IWC(国際捕鯨委員会)から日本が脱退せねばならないのか?
些か国内政治的な匂いがし過ぎではないのか?と思うのだが……。
だって。自民党の捕鯨推進派、捕鯨船の拠点は山口県下関市、安倍首相のお膝元。
沿岸捕鯨が盛んな和歌山県太地町は二階自民党幹事長の選挙地盤。
10月29日に、首相が衆院本会議で「1日も早い商業捕鯨の再開に、
あらゆる可能性を追求していく」と唐突に表明した。
この表明を受け、当該官庁である「外務省」「水産庁」では、
「捕鯨には役人が口を出せる案件ではなくなった」との認識が広がり……
以後の活動は「あらゆる」に凝縮され、IWC脱退が政治主導で決まった。
私は、この脱退は明らかに間違っていると思う。
これこそ、安倍一強の最大の弊害ではないか。身内のごり押がまかり通る。
「鯨を食することは日本の文化である」「その文化を守るためには、国際組織から、
離脱しても致し方ない」そんなバカな理屈が、与野党を沈黙させている。
鯨の生態を調査しようと誕生したIWC。1946年です。
日本は終戦の傷跡が癒えず、国民が食うこともできない時代です。
1951年、日本はIWCに加盟しました。理由は「鯨肉」を国民のタンパク源として、
供給するためにです。だって、その当時までは、欧米では何百隻もの捕鯨船が
世界を疾駆していて、鯨は「泳ぐ油井」と言われ、鯨油として、経済を動かす重要な
エネルギー源だったのです。
日本としては、油を絞って捨てられる鯨肉をタダ同然でもらい受けることができる、
重要な食料資源だったのです。だから、加盟したのです。「資源」は乱獲すれば消失します。
鯨が絶滅危惧種になってはならないと、IWCは舵を切ります。
それが1963年から始まった「捕鯨禁止」です。最初はザトウクジラから、ナガスクジラ、
イワシクジラと広がります。
禁漁区域も北海から南極へと規制され、捕鯨から撤退する国も、英国、オランダ、
ノルウェーと海洋国が。逆にカナダはそんな規制には賛同できないと脱退します。
で、現在では加盟国が88ヵ国に増え、捕鯨に賛成が35、反対が50となり……
いつの間にか、IWCのテーマが、鯨の研究から「自然環境」とか「地球温暖化」の
話にすり替わり、鯨の「捕鯨」が是可否に歪曲されてしまった。
でも、です。調査捕鯨という名のもと、日本が捕鯨をすることを「日本文化」として、
IWCは暗黙の認知をしているのです。そうなっているのは、商業捕鯨を認めないなら、
脱退してしまえと乱暴に政治力を振り回す連中の乱暴な声に耐えて、
「鯨を食するのは日本の文化」であり、生態を鑑みて捕獲もありだと、
訴えてきた官僚たちの努力です。その努力も無視して、強引に脱退すれば、
「日本という国」の国際的なレベルが一気に落ちます。
そのことに思いを馳せれば、安倍首相の哲学の無さと申しますか、
一事が万事、場当たり的な本質が見えた気がします。
私はIWC脱退には、断固反対です。Goto

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