新聞科学研究所

新聞の輝かしい明日が見えるのですがねぇ。
日本新聞協会のプロジェクトに新聞科学研究所がある。新聞購読の普及を目的としている。
誰が担当しているのか、どこの大学と組んでいるのか、ホームページの検索では定かでない。
新聞は教育に、仕事に、生活に役立つことを科学的に証明したいのだろう。
こんなデータが「新聞科学研究所」から発表された。
新聞購読者と非購読者2472人への調査結果
「日頃から地域行事に参加するか」との問いに「購読家庭32.6%」「非家庭20.8%」
「町内会への参加」を問う質問では「購読家庭15.8ポイント上回る」と。
このデータを受けて。地域の新聞社がこんな広告を掲載した。
地元での就職やUターン就職を増やすことは、親にとっても地域社会にとっても
重要な課題。帰省の頻度が上がれば、子どもの地元愛が高まる。
子どもに地元愛を持ってもらうなら、子どもの機嫌を取るのではなく、新聞かも。
新聞科学研究所のデータから、新聞社が導き出した、答えである。
広告屋の発想で恐縮だが。この広告の真意はどこにあるのか。
「新聞購読のススメ」なのか、それとも「新聞購読継続のススメ」なのか。
当たり前の話だが、新聞は有料である。新聞は購読料を払っている人が読んでいる。
ということは、この広告は、購読している人が目にすることなる。
購読している人に、新聞購読をすれば「地域社会に溶け込める」との分析(科学)を
いくら知らしめても意味がない。
広告用語では、「訴求外広告」といって、「無駄な広告」の典型である。
でも、購読者の減少をつなぎ止めるために、「新聞購読をしていれば
地域の情報が日常的に入手でき、あなたは地域から疎外されないですよ」と
訴えるための広告ならば、それなりに意味があるが、でも、購読者の67.4%が
「地域活動に参加しないのだから」大して意味がない。
私は「新聞を読もう」との視点でこのブログを書いている。
だから、「新聞科学研究所」の存在を否定するつもりはないが。
「科学」は「調査データ」が基本だが、なんでもかんでも「調査」すれば、
それが「科学」だと勘違いしているのではと問いたい。
なぜ、新聞を購読する人が増えないのか。購読者と非購読者の比較から、
どれだけ調査しデータを集めても答えなどでない。なぜなら、どうしたら読者が増えるのか、
そのための理由づけをいくらしても、意味がないからである。
国民は、新聞に飽きたのです。新聞の歴史は高々150年、情報収集の手段は、
電波から通信へと飛躍的に変化したのです。それを認めたくない人が、
「科学研究所」などという、紛い物を作って自己満足しているのではないか。
新聞が「最盛期の夢を追っているのなら」再び隆盛を極めることはない。
現実を謙虚に認識し、変化を恐れぬ覚悟がなければ、悪あがきに過ぎぬ。
「変化こそ唯一の永遠である」ことを忘れた新聞に未来はない。
私には、新聞の輝かしい未来が見えるのだが。Goto
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