日本の機械メーカー、風力発電機の製造中止。
この地方でも1週間ほど前になりますが、春一番が吹きました。
強風ですが、どこかしこに春の匂いが感じられ、厳しい冬も……
この風とともに、静かに去って行くのかと思うと感慨深く感じます。
激しい風の中にも季節が移り変わる希望のような……そんな可能性を。
面倒な話ですが、春一番って条件があるのか。そんなことを思います。
2月から3月中旬……つまり立春から春分の間に吹く風ことで……
北日本と沖縄を除く日本列島で、日本海を進む低気圧に向かって南側の高気圧から
初めて吹く南寄りの強い風(10分間平均8m/キロ以上)。
前日比で気温が上昇するのが条件だそうです。そうかと思うよりも「春一番」
なんておしゃれな言い方です。もう少し情緒はないのかって、感じですが……
風といえば風力発電、太陽光発電と並んでクリーンエネルギーの代表格ですね。
山頂や洋上でブレード(羽)が回る様は壮大です。エネルギーを原油輸入に依存する日本です。
「再生可能エネルギー」として、大いに期待されているのですが……
世界では風力発電機市場は拡大傾向にあります。しかし、先月の話です。
国内有力メーカーの日立製作所が風力発電機の自社生産からの撤退を表明。
三菱重工業、日本製鋼所などの企業も既に事業継続を事実上、断念しており、
国内では「風力発電機」を製造するメーカーがなくなります。
ちょっとビックリじゃないですか。
風力発電機を製造する企業が日本にないなんて。
原因は何なんでしょうか。世界の潮流から乗り遅れたからです。
世界では建設の制約の少ない広い平地や洋上を中心に、発電量あたりのコストが安い
大型の発電機が主流。日本のメーカーは建設に適した地域が少ない国内で風力発電を
展開してきた。日本の風土に合わせ、小型の発電機を開発してきた。
その結果、大型化競争についていけなくなった。日立の発電機、最大の出力5200キロワット。
スペインや米国のメーカーは1万キロワット級の大型風力発電機が主流。
今から開発投資を進めても手遅れ、利回りが確保できない。よって撤退に。
風力発電の国際的団体「世界風力会議」によれば、風力発電の総出力は
01年2300万キロワットから、17年5億3900万キロワットに、22年には8億4100万に
拡大すると予想されているが、日本勢不在となる。
世界に冠たる技術力を誇る日本の機械製造の大企業が、
風力発電の世界情勢を見誤ったとは思えないのだが。
私の率直な考えは「原発」が原因。日本はクリーンエネルギーよりも「原発」が
主流になると踏み、再生可能エネルギーに真摯に向き合ってこなかったからだとは言えないか。
背景は、原発に前のめりになり過ぎた、経産省と電力会社にあると思う。
東電福島の原発事故を契機に日本での 原発建設はもはや有り得ない。
だとすると、遅きに失するが、ここは一番、国家を上げて
風力発電機の大型化に取り組むべきではないだろうか。
時代は間違いなく「再生可能エネルギー」へ動いている。
日本の技術陣が高い志を持てば世界の風力発電を凌駕することなど、
難しくはないと思う。そんな志も失ったのかとは思いたくない。
頬を撫で、髪をそよらす(髪は少なくなったが)春一番に、風の偉大力に期待したい。Goto
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