夕刊の魅力

朝日・毎日の夕刊はエンターテイメントです。ぜひ、開いて下さい。
こんなこと聞くまでもありませんが、因みに聞いてみます。
「あなたは新聞に夕刊が発行されていることご存知ですか?」
えっ・・そんな質問はないでしょう。
そもそも新聞とは「朝暗いうちにポスト」に配達され、帰宅前には
「夕刊がポスト」に配られるもの。夕刊を知らないとは失敬な」と、
ご立腹される方が、大勢おられるなら、そりゃ失礼致しました・・お詫びですが。
現実は「えっ、新聞って夕方も配っているのですか?夕刊っていうのは、
駅のキヨスクでならんでる「夕刊フジ、日刊ゲンダイ」のことでは」そうなんです。
新聞社が朝刊と夕刊を発行していることを知らない人が大半なのです。
そのくらい夕刊は購読されていません。
発行部数は朝刊の10分の1程度ですから目にしないのは当然です。
私は4紙の夕刊を開いていますが、日々って訳にはなかなか参りません。
時間帯が合わなくって、開くタイミングが難しいです。
朝と違って決まった時間に夕刊をとなりませんので。
「新聞命」の私でさえ、夕刊を開く時間を探すのが難しい時代です。
日頃から新聞を利用していない人や、読む習慣がない人に夕刊を勧めるのは難しいですね。
でもです。敢えて夕刊の魅力を訴えたいと思います。
対象の夕刊は9月3日付・日経・朝日・毎日・中日の4紙です。
実は東海地方では、他にも日刊紙では読売と岐阜が発行されていますが、
いずれも夕刊は発行されておらず、4紙しかありません。
一面を見てみましょう。
朝日は「帰ってきた 昆虫表紙」と題して、発売から半世紀を迎えた
小学生向けのノート「ジャポニカ学習帳」が8年ぶりに昆虫シリーズを
表紙にしたとの記事です。
昆虫シリーズは「虫が苦手な子がいる」との理由で
姿を消していたのが復活したと、たわいな記事ですが・・
ジャポニカ学習帳と多少なりとも縁があった人たちの哀愁をそそります。
1面にはニュースは全く掲載されていません。
毎日です。おおよそ一般紙の1面らしくありません。まるでスポーツ新聞です。
プロ野球の前半戦が終了。今季はコロナ禍で試合数が120試合に。
前半の60試合を消化、その内容を統計学で分析、その詳細を紹介しています。
チームの得点と失点から勝率を予想する「ピタゴラス勝率」で分析すると、
今季の順位予想はセリーグ、優勝は巨人の637で、
現在4位の我らが中日が407で最下位と報じています。
そりゃないじゃないと思うのですが、面白い分析記事です。
ドラゴンズには発奮材料になってくれればと思いますが。
因みにパリーグは首位のソフトバンクが3位の楽天に追い上げられるが逃げ切ると予想。
前半戦の勝ち方、負け方で結果が予想できるのは面白いですが、
優勝チームが分かると野球の興味は半減かも知れませんね。
そんな分析で紙面を楽しませてくれます。
日経は、従来の夕刊らしい紙面構成です。頭には米財政赤字3倍・政府債務最悪
GDP比126%と米議会予算局の速報を掲載しています。他には自民総裁選出馬の
3陣営始動したとの政治記事が。実にオーソドックスなザ・新聞です。
中日は、朝日・毎日と日経の中間で、総裁選本格始動が第2頭で、
トップは下町ロボットが来年、日米初の探査に使われ、月面を走る記事で飾ります。
思わず頑張れ日本のものづくりとエールを送りたい紙面です。
朝日と毎日は、夕刊づくりの方針を根本的に替えました。
夕刊はニュースを掲載するのではない。エンターテイメントを提供して
楽しんでもらうものだと。私はそれでいいと思います。
お堅い新聞社が、夕刊の発行に苦慮している様ですが、
そのもがきが新たな夕刊文化を生み出すかもしれないと思うからです。
夕刊は発行部数が少ないのです。赤字であるのは当然です。
それでも、発行しているのはなぜでしょうか。新聞社の矜持と申し上げたいのですが、
日経は報道として夕刊を発行しています。それ以外はエンターテイメント紙です。
矜恃よりも、意地といった方が良いかも知れませんね。
紹介したのは1面だけですが、中面はもっと工夫が凝らされていて
更に面白いです。その日に開く時間がなくても、数日後でも楽しい読み物で溢れています。
どこかで、夕刊を目にされたら、ぜひ、開いて見て下さい。
こんな面白い読み物はありませんので。Goto

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