新聞広告の価値を認めたプロジェクトであって欲しい
10月は新聞週間です。例年以上に、各新聞社がそれぞれの視点で新聞のあり方を
真摯に取り上げていることが印象的です。新聞命(しんぶんいのち)の私としては、
新聞ってここが存亡の正念場、まずは当事者(新聞関係者)が危機感を露わに、
踏ん張って欲しいと思っています。
10月20日は「新聞広告の日」です。1953年・新聞広告の生活情報源としての役割を
アピールすることを目的にして、日本新聞協会が制定しました。20日に大した意味はなく
15日からの新聞週間の中で区切りの良い日だとして20日になったそうです。
この決め方が私には気に入りません。50年代は新聞の勃興期にあたります。
高度経済成長を迎える上で、新聞が国民のライフスタイルの一部になっていく時期です。
そんな頃、新聞広告の価値は記事下扱いで、新聞社内でも編集・販売より一段下に
位置付けされていました。そんな新聞広告です。新聞週間内で適当にやればと・・・
如何にも如何にもです。
そのツケが、いま回っているのです。因果応報と申しますが、
ここに来て新聞広告の価値をと訴えても・・・後の祭りだといわれても。
因みにですが、私は「広告は情報である」と思っています。
新聞の広告紙面は記事と双璧で新聞に不可欠な情報だと思っています。
むしろ、広告情報だけ独立させても、価値があります。
それが、我が社が発行する地域広告を主体とした「地域みっちゃく生活情報誌」です。
おかげさまで、日本全国・30道県・890万部ご家庭にお届けしています。
写真を参照下さい。朝日新聞に掲載された「広告しようぜ」という広告紙面です。
大胆な紙面ですね。なんの広告なのか、わかりますか?
新聞週間の一環なのでしょう「新聞広告の日」に掲載されました。
朝日新聞が賛同企業6社と組んだ合同プロジェクトで、
新聞広告の常識にとらわれないで広告の新たな可能性を開拓する意欲的な試みです。
表現の内容はフリーで小説・エッセー、詩やキャッチコピー、またはイラスト
漫画、写真などを特設サイトやツイッターを通じて11月3日までに応募すれば、
後日、選ばれた広告が朝日新聞にその企業の広告として掲載されるそうです。
若いクリエイターにチャンスを与えるプロジェクトです。
広告に関心がなくてもテーマである社会課題に取り組んいる人たちには
自分たちの主張や思想を訴えることができます。面白い企画です。
でも、応募のコピーが気に入りません。
広告はつまらない。
広告は嫌いだ。
広告なんて。
『それでも広告は、時に企業のメッセージを超えて、人の心を揺さぶり、
時代を象徴し、社会を動かす(こともある)わたしたちはそう信じています。
今日は新聞広告の日、広告の可能性をたくさんの人に感じて欲しい。
そんな思いで、皆さんに、好きな広告を作ってもらうためのテーマを
朝日新聞と賛同企業でご用意しました。今までの広告の常識なんて、
ぶっ壊してしまうような。多くの人の心を動かすメッセージを。
社会を良くするアイデアを。あなた自由な発想を。さあ、みんなで。』
社会を動かす(こともある)。かっこ付きで「こともある」とはなんだ。
そう信じています。とはなんだ、そう・・・とは元々信じていないってことか。
と、つぶやきたくなるようなコピーです。
私は思います。広告はマスターベーションであってはなりません。
そこには、成果・反響、レスポンスがあってこそ広告です。
そこが記事とは本質的に違います。
この「新聞広告の日」にぶつけたプロジェクトで、協賛各社の
企業姿勢やブランドが高まってこそ、価値があると思います。
我が社のクリエイターにも「勉強のチャンス」です。考えてもらいますが、応募はしません。
理由はそもそも新聞広告の価値を疑いながらのプロジェクトのような臭いがするからです。
そして特定の広告代理店から選ばれるに決まっているからです。Goto
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