音消しの壺

住宅産業は日本の輸出産業の花形になります。
昨今・日本の輸出産業が振るわないと嘆く声が聞こえます。
そう言われれば、世界を席巻する産業、自動車以外には聞きませんが・・
そんなことはない。と思っています。
例えばですが・・日本の住宅、「人が暮らす」そのきめ細やかさは世界一です。
住宅は立派な輸出産業ではと思っています。
2013年の調査で古いのですが、日本に来てびっくりしたものは何かを
日本に住む外国人女性に聞いたところ・・トイレの「擬音装置」が断トツ。
2位が「豊富な種類の自動販売機」3位はコンビニの多さ。
4位トイレの「自動洗浄装置」だったそうです。
水琴窟ってご存知ですか。
日本庭園の装飾の一つで、手水鉢の近くの地中に作りだした空洞の中に水滴を落下させ、
その際に発せられる音を反響させる仕掛けです。日本のみやび文化です。
音を楽しむだけでなく、手水鉢の排水を処理する機能を持っています。
水琴窟という名称の由来は不明ですが、同義の言葉に洞水門(とうすいもん)があります。
水回り処理が源流だそうです。
岡山・倉敷に、岡山藩主の祈願寺として1300年の歴史を持つ古刹・蓮台寺があります。
風格のある客殿の奥に「音消しの壺」があります。(日経)
直径約50センチの青銅の壺で、高さ約2メートルの石柱に置かれています。
壺には蛇口があり、栓をひねると、地面に敷き詰められた瓦に
滴り落ちる水の音が鳴る仕組みです。壺の奥に客人用のトイレがあります。
藩主が祈願のため宿泊した折には、お付きの者が殿の用足しの際、水音を響かせるためです。
かつては瓦の下に音を共鳴させる水琴窟もあり、恥じらいの音を
美しい水音で消していたそうです。現存の「音消しの壺」は江戸後期1799年に設置。
当時は蓮台寺と大奥にしかなかったそうで、その後、全国に広まったようです。
この音消しのアイデア「擬音装置」が現代に蘇ったのは1979年、東京の中小企業が
「エチケットーン」の名称で開発、電気的な流水音が鳴り芳香剤まで香ります。
その後、水回りのメーカーが気になる音を消す装置に次々と参入しています。
もちろん、こんな手の込んだと申しますか・・・生活者の心の襞にまで届く
トイレを考案するのは日本の「恥じらい文化」から生まれたものであり、
日本の住宅産業だけです。外国人の女性が驚くのも理解できます。
「音消し壺」から始まった「かゆいところへ手の届く」多彩なトイレ文化の基本は
「人が暮らす」ためのきめ細やかさです。住宅産業が世界を席巻し、日本の輸出産業の
雄になる日は遠くないと思うのですが・・・
先ずは、我が家も「みやびな擬音」付きトイレに替えてみますかねぇ・・・Goto

コメント