うつむく時間が増えています。

広告の使命は、人を動かすことにあります。

この作品・前にも紹介しました。(写真参照)
第19回・ACジャパン広告学生賞・新聞広告部門・準グランプリ受賞作品です。
制作・東北芸術工科大学・白鳥舞さんです。

作品をじっくりご覧下さい。いいですねぇ。実にいいですねぇ。そう思いませんか?コピーも良いですが、イラストが良い。ひまわりを人に見立て、二人だけ「うつむいて」いないひまわりがある。この二人はきっと未来を夢見る恋人同士かな。そんな連想もさせる。

コピーはこうです。

うつむく時間が増えています。
現代社会において、多くの人がスマートフォンを所有し、
毎日長時間使用しています。そのため、うつむく時間が増えたこの時代に、
スマホ首と呼ばれる新しい現代病として問題になっています。

スマホ首は、首・肩こりや頭痛、目の疲れ、猫背、腰痛などの影響が出るだけでなく、うつを引き起こしたりするなど、心に影響を及ぼす場合もあります。
便利さに隠れた不便さに気づき、普段の姿勢を見直して見ませんか。

日本人の8割以上がスマホを所有、平均使用時間・176.8分(総務省・出典)
このコピーもスマホの弊害を健康面から捉える・・学生ならではの発想が実に面白いし、説得力があります。ACジャパンの「気づきを、動きへ」の考え方にも合致しています。

素晴らしいと思うのですが・・・こんな見方はできないでしょうか。
この広告って、何が訴えたいのでしょうか。スマホの使用時間を減らしましょう。でしょうか。それともスマホも良いが背筋を伸ばす屈伸運動などを定期的にやって下さいという健康促進でしょうか。それではあまりにもストレート過ぎます。

現代人って余程の変人でなければ・・・スマホを手放すことができない状況にあります。今やスマホは体の一部といっても過言ではありません。スマホは健康を害すると言って見た所で、この紙面をみた読者にしてみれば「そうでしょうねぇ」と思うだけです。

納得できる広告ではあるが、理解して何らかの行動を起こすには至りませんね。
そこが、やはり若い制作者ってことでしょうか。

広告の役割は広告を見た人を動かさねば価値がありません。広告会社の使命はクライアント(広告主)の要望に応え、読者が行動を起こす広告を作ることです。
心に染みる広告も心を動かすという意味では、価値ある広告です。それを否定するものではありませんが・・・この素晴らしい広告は、広告学生賞・新聞広告部門・準グランプリ受賞作品である以上は・・・もう一捻りが必要でしょうか。

でも、未来を担う若い世代を対象に、学生ならではのアイデアを募集し、育てようとする公益法人・ACジャパンの試みに敬意を表します。

それにしてもです。スマホとは関係なくですが。
日本人って、最近とみに俯いていませんか。ほらほら、目線を上げて、広いこの世間をしっかりとみて欲しいですね。いろんなものが見えますから。Goto

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