209万人の有事者の権利を守ることが・・中小企業の業績悪化になるかも
11月1日からフリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に
関する法律)が施行された。フリーランスっていうと独自に取材して、原稿や映像を制作してメディアに提供する人のことかと思うのですが。
それはジャーナリズムに関するフリーランスであって、本来の意味ではない。
フリーランスとは「個人で仕事を請け負う働き方をする」こと。
個人事業主と混同されがちだが、個人事業主とは開業届を提出して個人で何らかの事業を行う人のことで「税務区分」を指す。
会社員との大きな違いは、フリーランスは雇用契約ではなく、業務委託契約を結ぶ。企業や団体との雇用契約がないため「労働基準法」の適用外だ。そのため、勤務時間や勤務場所などの面で自由度が高いが、最低賃金や残業時間など法律で決められたルールがフリーランスには適用されない。
内閣府や中小企業庁では「自身で事業を営んでいる」
「従業員を雇用していない」「実店舗を持たない」「農林漁業従事者ではない」
という条件を満たしているものをフリーランスと定義している。
フリーランス法はフリーランスが働きやすくなるよう、業務委託契約を結んで仕事を発注する企業に幾つかの義務を課している。その柱は「取引の適正化」と「就業環境の整備」だ。適正化とは、発注事業者は取引条件を明示せねばならない。違反すると、公取委から勧告を受け、社名が公表される。
明示するのは①業務委託をした日。②成果物や仕事の内容。③成果物を受け取る日や仕事をしてもらう日。④報酬の額。⑤支払日である。報酬の支払いは、成果物を受け取ったり、仕事をしてもらった日から60日以内のできるだけ早い日と決められた。
就業環境の整備では、発注事業者はフリーランスの働く環境について、ハラスメントの防止や相談に応じる制度を整える義務がある。6ヶ月以上の取引の場合は
フリーランスが育児や介護をしながら働けるように配慮しなければならない。途中で解除する場合、少なくとも30日前までに予告する義務がある。
業務委託契約でも、指揮・命令を受けて働いているなど、働き方の実態が「労働者」と判断できる場合は「労働関係法」が適用される。
そもそもだが、日本にフリーランスって何人いるのか。本業がフリーランスの数は209万人・有業者に占める割合は3.1%だと言われ、男女別には男146万人、女63万人だ。
フリーランス法には209万人の雇用を守る意義がある。
私の感覚では、政府が盛んに推し進める働き方改革には生産性の向上という本質が飛んでしまって、労働時間の削減が中心になって「働かない改革」になってしまった。残念なことである。
フリーランス法は、労働不足を安易に穴埋めできる「働き方改革」の盲点になっていたのだが・・・関係者の努力で法制化されたことによって有事者の権利が保障されたことは良いことである。
心配なのは、仕事を発注する事業者の手足を縛ることになると、フリーランスとの契約を控える事態になりかねない。言わずもがなだが、人口減少によって生産労働者数が減少する事態にある。自由な働き方を選んでいる209万人。その権利だけを主張することになると、また、別の問題が起こってくる。Goto
コメント