4000万人の踊り場で、地方観光は何を改めるべきかを問う。
――広告の現場からの提言――
2025年、訪日客は4000万人を超えた。消費額は9.5兆円。過去最大、インバウンド消費が日本経済の牽引役を担う。だが年明け以降、中国の渡航規制で流れは一服している。今年どんな影響がでるか。私はこれを不運とは思わない。歪みを正すための踊り場だ。
コロナ禍、観光地は閑古鳥が鳴いた。あの時、どれほどの宿泊業者が政府に泣きついたか。それが今、物価高を理由に宿泊料を吊り上げ、需要回復を「刈り取り」に走ってはいないか。
一方で、集客の主導権は海外の旅行会社任せ。
人手不足は、非常時に人を切り過ぎた経営の後遺症だ。
私は広告を生業にしているが、観光産業ほど「伝え方」と「設計力」が問われる分野はないと思っている。にもかかわらず、地方の観光・宿泊業は、いまだに業界に縛られ、「待ちの商売」から抜け出せていない。
提言は三つある。
第一に、価格は価値で語れ。
値上げそのものが悪いのではない。
問題は「なぜその価格なのか」を語れていないことだ。体験、物語、土地の背景、働く人の想い。それを編集し、言語化し、可視化する。価格は広告であり、姿勢である。
第二に、集客の主語を自分たちに取り戻せ。
団体客を海外エージェントに丸投げするのは、短期的には楽だ。だが、データも顧客接点も残らない。地域メディア、フリーメディア、SNS、動画。地方こそ、生活者目線の発信が生きる。広告会社的に言えば、自前のメディアを持てということだ。いつでもお手伝いする。それが1250万部・地域みっちゃく生活情報誌を発行する広告会社の役割だ。
第三に、人手不足を“人の価値”で解決せよ。単なる労働力として人を見る限り、人は定着しない。働く意味、誇り、成長。それを社内外に伝えることも、立派な広告だ。ホスピタリティとは、まず働く人に向けられるべきものだ。
先日泊まった地方の老舗ホテル(宮崎市内)
風呂は短時間、館内は早仕舞い、設備は不親切。
「働き方改革」を盾に、客の存在が二の次になっていた。
それでも利益がでてると言う。それは改革ではない。思考停止だ。
政府は2030年に6000万人を掲げる。
中国抜きでは難しい、という声もある。
だが私は敢えて言いたい。中国に依存しない観光立国を、この踊り場で設計せよと。観光とは、日本人の生き方を映す産業だ。
4000万人はもちろんゴールではない。
ここで立ち止まり、真摯に経営し直せるか。
自治体と地方観光と宿泊業は、いま本気で問われている。Goto


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