私は車のギアーに数珠を掛けています。
思い出したくもないんですが、忘れえないことが蘇りました。
全身を揺さぶる衝撃。コンクリートと金属の擦り合う耳をつんざく音。
窓に押し寄せる火柱。鼻に突くガソリンの臭い。充満する煙。
阿修羅のような悲鳴、叫び声。パニックに陥った78人。
爆発の危機、衝突大破の不安。何時果てるとも知れない恐怖。死ぬな。と思った。
(時間にして、僅か10秒ほどだったんでしょうが、随分長く感じた)
私が乗り合わせ、花巻空港に墜落、車輪が胴体にめり込み、滑走路を2km近く、炎上暴走し、全焼した日本エアーシステムのDC10の機内の模様です。平成5年4月のことです。
ニューヨーク、ハドソン川に不時着した、米国旅客機の機内も、きっと、そんな有様だったんだと。
ニュースを見ながら、思い出したくもない、あの事故と、その時の不思議な出来事を思い出した。
私が遭遇した事故と、この事故の共通点は、何れも、あわやの大惨事が(多少のけが人は出た)乗客乗員全員が無事だったこと。救助の手がすぐに差し伸べられたこと。何れも奇跡が起こったことです。
私は、なぜ、その時、名古屋空港から岩手県の花巻に向かったのか。それは、知人の葬儀に参列するためでした。その為に数珠を持って行きました。その数珠は、亡き親父殿のもの。
脱出後、葬儀場で、数珠を取り出そうとしたら。その数珠の紐が切れ、数珠は解けてばらばら。おもわず、私は、そのばらけた数珠を握り締め、この奇跡、親父殿が身代わりになってくれたんだと、天を仰いだものです。
最近、腕に数珠を巻いている信心深い人を見かけますが、その効果は抜群だと思います。
私は、その数珠、今も車のギアーに掛けています。
この世には人間などという小さなものでは、計り知れない大きな力があるのだ、と、
「ハドソン川の奇跡」に、忘れえぬ思い出が蘇りました。
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コメント
奇跡に感謝ですね。花巻では最前列に乗り合わせた紳士の的確な判断と行動がヒーローに値したと記憶しています。