その役割を終えたものは、無理に存続させてはならない・・・
岐阜市にある岐阜私立女子短期大学を共学化して4年制化への移行で設立にする新大学「岐阜市立大学(仮称)」案が浮上。教育分野の専門家らで作られる「私立大学準備委員会が7/28・市役所で開かれた。
私は率直に「えっ今更大学?ですか」って疑問に持ちました。
委員会では「キャンバスを1ヶ所と考えず、街中に点在する発想で、
大学と街が共に再生する構想も良いのでは」とか「情報サイセンス系の
学部は全国的にあり、数十年先の見通しを」などの意見がでたそうです。
「岐阜私立大」構想の目的は
岐阜市の郊外に位置する女子短大を市内中心部へ移転する。
学生が減少する女子短大を構造的に転換する。
2033年度を目処に可能な限り早い時期の開校を目指す。
そんな狙いです。(日本中どこでもある悩みですね)
私は、率直に「えっ今更、岐阜市立の大学を」そんな疑問を持ちましたので。
問題点を3点ほど指摘します。
1・急速な少子化です。すでに全国の私大の半数が定員割れ。
経営が悪化している。そんな情勢下、あえて大学を新設する必要があるか。
政策的・財政的観点から見直すべきではないか。拡充とはいえ、
大学を新設するには初期投資のみならずランニングコストが伴い
市財政を少なからず圧迫することになりかねない。
1・岐阜市には、「岐阜市立岐阜薬科大学」が存在90年以上の
歴史を刻んでいる。薬学教育・製薬の分野で確かな実績を築いている。
市の貴重な予算と人的資源を分散させるのではなく、薬科大学の重点的
支援こそが、学問・研究機関としての大学本来の役割を果たす
道ではないか。薬剤師養成や医療連携、創薬研究などは、今後ますます
社会的需要が高まる分野である。地域にとっても全国的にも
有意義な投資になるでしょう。
1・今回の構想では「市街地活性化」や「地域貢献」が大学設置の主たる目的に
掲げられているが、これは本来の大学の理念と大きくかけ離れています。
大学は学問を探求し、真理を追求する場であり、都市再生のツールでは
ありません。もちろん、結果として地域に貢献することは否定しません。
それはあくまでも副次的であるべきです。
中身の議論に入っていないようですから、軽々には申し上げられませんが。
地域課題の解決やビジネス人材育成を大学の存在理由に据えることは
本質を見誤った政策であり、結果的には中途半端な教育機関を増やすだけ
になりかねません。
以上の問題点から、現在の岐阜市立女子短大を無理に移転拡張して
新大学とする構想には、財政面・理念のいずれから見ても大きな無理があると思慮します。市民の税金を投じて新大学を設置するよりも、既存の薬科大学を軸に
少数精鋭・研究重視の最高教育機関としての岐阜市の知的拠点を強化すべきです。
加えて、そもそも、その役割を終えた岐阜市立女子短期大学は廃校にすべきです。それを形を変えてでも存続させたいとの思いが根底にあるとすれば、それこそが、既得権益をぶち破れない政治の貧困ではないでしょか。Goto
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