勝ってよし、負けてもっとよし。

ハルウララ・天国でも走り抜け・・冥福を祈る

朝焼けのオレンジ色に秋を見つけた朝、ウォーキング再開。
季節は確かに巡り、スポーツの秋も本番。世界陸上も東京で始まった。
阪神の優勝に湧き、日ハムの躍進を驚き、我らがドラゴンズには「まぁ、言うまい」のひと言。負けても勝てなくても応援するファンの姿に、なぜか胸が温かくなる。

さて、スポーツの秋といえば、まずはプロ野球。
セリーグではタイガースが優勝を果たした。
藤川監督の采配も見事だったが、やはり背景にあったのは、何があってもタイガース。ファンの圧倒的な後押しだろう。その声援に応えて、エース村上投手の安定した投球。森下選手の成長した打撃。中野選手の走攻守にわたる活躍がチームを支えた。猛虎はまさに「ファンと一体で勝つ」を体現していた。

一方・パリーグでは日ハムが優勝争いに絡んでいる。
新庄監督のカリスマ性と発想力は、低迷していたチームを見事に蘇られた。
ぜひ、クライマックスシリーズで勝ち抜き、阪神と真っ向勝負で日本シリーズを盛り上げて欲しい。

我らが中日ドラゴンズも忘れてはならない。
井上監督の下で、苦しみながらも最下位脱出。前任者については「まぁ 言うまい」とだけ申し添える。バンデリンドームは連日満席、負けても、勝てなかっても駆けつけるファンには頭が下がる。

「負けても、負けても」で思い出すのは、かつての高知競馬のアイドル、
ハルウララだ。113戦0勝、デビューから80連敗で人気に火がついた。
負けても元気に走り抜く姿に、日本中が声援を送った。あの名騎手・武豊が106戦目で跨ったが、それでも勝てず。しかし、レース後、観客の前を一周した彼と馬の姿には、なぜか涙が込み上げたこと思い出す。100連敗目には東京から応援ツアーが大挙して押し寄せ、大フィーバーとなった。2003年の話である。

当時の日本には「負け組」でも必死に頑張る姿を讃える風土があった。
馬券は当たらなくても「走る姿を応援したい」とファンは笑顔で買った。
だが、20年を経た今はどうだろう。勝ち組を称賛し、儲けを追い、切り捨てが横行する世の中になった気がする。

それでも、ドラゴンズのファンが球場に足を運ぶように、
日本人の判官贔屓の心根はまだ健在だ。グローバルな価値観を否定はしない。
だが「勝ち組が偉い」だけでは寂しすぎる。負けても転んでも、また立ち上がる。そんな姿に心からエールを送れる人でありたい。

この夏は、記録づくめの猛暑だった。人も自然も疲れ果てた。
だが、朝焼けのオレンジが告げるように、ようやく秋が訪れた。
厳しさを越えて、季節は巡る。あのハルウララもまた、負け続けても明るく走り抜け、やがて静かに天寿を全うした。燃える夏が過ぎ去り、しみじみとした秋の風が頬を撫でるとき、彼女の姿が重なって見える。勝つことよりも、生き切ることの尊さ。そんなことを一頭の小さな名馬が教えてくれた気がする。
ハルウララ。ありがとう。天国でも走り抜け・・冥福を祈る。Goto

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