選挙公約を守る当たり前

日本の政治は政党政治である。

各政党が国の将来像を示し、選挙公約を掲げて国民の審判を仰ぐ。そして選挙に勝利した政党が政権を担い、公約を実現していく。これこそ民主主義の根幹であり、政党政治の存在理由である。ところが近年の日本政治を見ていると、「公約を守る」という本来当たり前のことが、なぜか特別なことのように扱われている。私はここに日本政治の大きな問題があると思う。

高市首相は、自民党の公約である衆議院定数削減、とりわけ比例代表45議席削減法案を今国会中に取りまとめるよう指示した。鈴木幹事長も同意し、具体的な検討に入ったという。連立を組む維新も議員定数削減を公約として掲げており、両党が実現に向けて動くのは当然のことである。

もちろん議論は必要だ。メディアが賛否を論じるのも自由である。しかし、自ら掲げた公約を党内から否定するようなことがあれば、それこそ政治不信を招く。国民は政党の公約を信じて一票を投じたのである。その約束を反故にすることは、有権者への裏切りに他ならない。

野党から反対論が出るのも理解できる。しかし、比例代表削減に反対する理由が党利党略であってはならない。国民は政党の都合のために政治を委ねているのではない。国のため、国民のために政治を行うことを期待しているのである。

私は政治家が身を切る改革に賛成である。一方で、議員報酬や活動費は十分に保障されるべきだとも考える。優秀な人材が政治を志し、国政に専念できる環境は必要だからだ。

しかし現在の小選挙区比例代表並立制には大きな違和感がある。小選挙区で敗れた候補者が比例で復活当選する仕組みは、有権者の意思との間に矛盾を抱えている。妥協の産物として導入された制度ではあるが、国民感覚とのずれは否めない。その是正の第一歩として比例代表削減に取り組むことは意義がある。

本来、政治とは約束を守る営みである。

人間学の観点から言えば、信頼とは約束の積み重ねによって生まれる。個人も組織も国家も同じだ。約束を守る人に人はついていく。約束を守る組織に人は信頼を寄せる。国家もまた例外ではない。

選挙公約とは、政党と国民との約束である。その実現を目指して努力することは政治家の責務であり、できないならできない理由を国民に説明する義務がある。最初から守る気のない公約を掲げることこそ、政治不信の最大の原因である。議員定数削減も、食品消費税の二年間ゼロも、副首都構想も、まずは公約として掲げた以上、真剣に実現へ向けて取り組むべきだ。

政治は評論ではない。実行である。
国民が求めているのは、美しい言葉でも巧みな弁解でもない。約束したことをやり遂げる覚悟である。公約を守る。当たり前のことを当たり前に行う。その積み重ねこそが政治への信頼を取り戻し、日本を前へ進める原動力になるのである。政治には今こそ、その原点に立ち返ってほしい。Goto

コメント