17分野、如何も総花的、会議が踊るだけではないか?心配です。
高市首相が設置した「日本成長戦略本部」。まだスタートしてもいないのに、検証するのはおこがましい。就任から半月、いわば政権のハネムーン期間である。まずは三ヶ月ほど、好意的に見守りたい。新政権への惻隠の情というものだ。
とはいえ、経済は生き物。特に成長戦略となると、待ったなしである。長く低迷を続ける日本経済に、スピード感をもって挑まねば、再び波に乗り遅れる。
政府は17分野に重点を置き、積極投資を進めるという。高市首相は「好循環を実現し、国民に景気回復の果実を実感していただく」と意気込む。
しかし、その17分野を見渡せば、目新しさは乏しい。
安倍・菅・岸田・石破各政権の焼き直しに過ぎず、さらに遡れば小泉政権以来の「骨太方針」の系譜にある。
要するに、自民党政権の枠組みの中での繰り返し。果たしてこれで「成長の果実」を実らせることができるのか。新しい器をつくっても、中身が古ければ同じ結果になるのではないか。
第一回会合は近く開催されるというが、取りまとめは来年6月の予定と聞く。悠長な話である。日本経済にそんな時間的余裕があるだろうか。
しかも構成メンバーの顔ぶれにも、あまり新鮮味がない。立ち上げの掛け声は勇ましいが、結局は予算がつかず、会議が踊るだけにならぬかと危惧する。
専門家の見立てでは、政府の投資拡大は一時的な効果しかなく、波及も限定的だという。確かに、17分野を総花的に並べても、虻蜂取らずになるのは目に見えている。むしろ、思い切って一点に絞り、国家の総力を集中すべきではないか。
私見だが、その突破口は「防衛産業」である。AIも、造船も、航空宇宙も、海洋資源開発も、防衛技術と密接に結びついている。高市首相の政治信条にも通ずるはずだ。
しかもこの分野なら、裾野が広く、基礎技術も厚い。民間の創意を活かしながら、スピード感をもって推進できる。国家の安全保障と経済成長の両輪を成すテーマとして、真に戦略的投資ができるのではないか。
日本経済の再成長には、勇気と覚悟がいる。数を並べるよりも、ひとつを極める決断こそが要る。
「成長戦略本部」が、単なる官僚会議の延長に終わることなく、真に実効ある戦略を生み出すことを願ってやまない。Goto


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