相手を批評するなら、己の背中に大刀を突き刺し、腹に出た切っ先で相手を突く・・
最終面は現代最高の文化欄にしたい・・・
そんな編集担当者たちの心意気を感じるのが、日経新聞の最終面です。
そもそも、日経新聞とは日本株式会社の機関紙・・・
生き馬の目を抜く・・・経済情報を、それも地球の裏側まで、
きめ細かく報じてくれる。哲学書も古典も無縁なほどに、
日々経済戦争に明け暮れる第一線の経済人たちの必読紙です。
そんな彼らの一服の清涼剤が、日経の最終面。
まだ、現役の端くれである私も、引退したら、何をさて置き・・
日経だけは購読を止めよう。そして、追い回される経済情報から解放され、
晴れて自由の身になりたいと思っている。
私同様、そう思っているご同輩は多いに違いない。
終面のエキスは「私の履歴書」・・・
このところ、読み飛ばす登場人物が多かったのですが、今月は圧巻です。
さすがなどと言っては叱れますが、明朝が待ち遠しい・・・そんな思いに駆られます。
宗教学者、いや哲学者・・・山折哲雄先生の履歴書です。
まだ終わっていませんので、どんな締めをされるのか楽しみですが。
第23号。親鸞の歎異抄の一節「悪人こそが救われる」が腑に落ちない。
親鸞から8代のちの蓮如は文書伝道で「善をなし、善行を積め」と言い続けた。
親鸞90歳、蓮如85歳。2世紀を隔て、二人の間にどんな事情で考え方が隔ったのか。
蓮如に傾注する先生。日課とする散歩を繰り返しながら蓮如についての
思い付きや感想を書き綴った・・・それを半分ほどに圧縮し、
「思想の科学」あてに送って見たら、編集長から「全文掲載する」と。
読む人が読めば、すぐわかるのだろうが、
掲載の背景には「思想の科学」創刊者、鶴見俊輔氏の推挙によるとわかった。
その後、鶴見さんの思想や生き方から多くの影響を受けた。
忘れられない言葉は「相手を批評する時は、
まず、己の背中に大刀を突き刺し、腹に出た切っ先で相手を突く」
その覚悟はあるか。・・・だったと山折先生は語る。
最終面が一服の清涼剤などではない。
己の生き方、生き様に刃を突き付けられた気持ちである。
私には人を見る目もなければ、自らの身を刻んで相手に迫る迫力もない。
ましてや「善行をなし、善行を積む」にはあまりにも未熟である。
私の履歴書に震えました。Goto
コメント