4月の満月を仰いだ、綺麗だなぁ。
2日の夜を逃し、3日の明け方、東の空に凛として輝く満月に出会った。思わず手を合わせた。なんと美しいのか。静かに光を放つその姿に、幼い頃の、かぐや姫の物語がよみがえる。人は太古より月に憧れ、物語を紡ぎ、夢を託してきた。
その夢が、いま再び現実になろうとしている。米国主導の月探査計画「アルテミス計画」である。
アルテミス計画は、1972年のアポロ計画以来、半世紀ぶりに人類を月へ送り返す壮大な国家的・国際的プロジェクトだ。だが今回は単なる「到達」ではない。「持続」が目的である。
月の周回軌道に宇宙ステーション「ゲートウェイ」を建設し、そこを拠点に月面へ往還する。さらに月面に拠点を築き、水資源の活用や長期滞在を可能にし、その先の火星探査へとつなげる。人類の活動領域を宇宙へと拡張する、まさに次の時代の扉を開く試みである。
その第一歩として打ち上げられたのが有人宇宙船「オリオン」である。ケネディ宇宙センターから打ち上げられ、月の裏側を含め40万キロを超える軌道を巡る。あのアポロ13号の悲劇を知る者にとって、この「帰還計画」は胸に迫るものがある。幾多の事故と犠牲、挑戦と挫折を経て、それでもなお人は宇宙を目指す。その執念に、ただただ頭が下がる。
アルテミス計画は米国だけのものではない。日本をはじめ欧州、カナダなど、多くの国が参画し、現在では60ヵ国以上が合意する国際枠組みへと広がっている。
日本は「有人ローバー」(探査車)の開発やゲートウェイへの貢献など重要な役割を担う。まさに人類が国境を越え、ひとつの夢に向かう象徴的なプロジェクトである。
2028年には第4弾として再び人類が月面に降り立つ予定だ。そして第5弾では、月面基地の建設へと進む。月で暮らす――かつて絵空事であった未来が、現実の工程表に刻まれている。
一方で、同じ米国では企業家イーロン・マスク氏が率いるスペースXが宇宙ビジネスを牽引し、IPOによる巨額の資金を集める。宇宙はもはや国家の威信だけでなく、民間の挑戦の舞台ともなった。
対して日本は、ロケット打ち上げの失敗など暗い話題も多い。もしそこに資金の問題があるのだとすれば、我々の夢に対する覚悟もまた問われているのかもしれない。それにしても、宇宙に向かう夢ほど純粋なものはない。
地上では戦争が絶えない。米国、イスラエルとイラン、ロシアとウクライナ。人はなぜ争うのか。なぜ愚かな指導者を選ぶのか。もし宇宙から地球を見下ろせば、国境など見えぬただの青い星に過ぎないはずだ。そこに生きる我々の争いを、天は冷ややかに見ているのではないか。
だからこそ、宇宙を目指す営みには意味がある。
人類が自らの小ささを知り、同時にその可能性の大きさを知るために。
「月に行ってみたい」
子どものようなこの想いを、私は今も持ち続けている。
もう少し時間があれば、宇宙旅行に出てみたいものだ。
「オリオン」の無事帰還を祈りながら、
今朝も西の空に静かに佇む月に手を合わせる。夢は、まだ終わらない。Goto


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